地域福祉を考え直そう

最近福祉関係者で使われている「地域福祉」ということばは、「施設は解体すべき」という誤ったメッセージを社会に出していると思われます。
「地域福祉」は「制限された生活状況にあった障害者に対して、多様な選択肢の用意すべき」という非常にわかりやすい命題をメッセージにしたものです。
はじめはノーマリゼーションということばが地域福祉にかわり、最近では<地域移行>という、施設からグループホームやケアホームに生活の場を変えるべきという非常に幅の狭いことばに置き換わりつつあります。
時を経るに従って崇高な理念も形を変え、利用者そっちのけの様式だけがもてはやされる議論になってしまっていることが残念です。

入所施設=制限的とは限りません。
利用者の立場から見ればグループホームやケアホームの方が入所施設と比べてより制限的な生活を強いられることもあり得ます。

数年後には障害者自立支援法でどの入所施設も夜間の生活と日中の生活が分離します。日中生活や夜間生活の選択が保障されているならば、それが旧来の施設福祉に代わる障害者自立支援法時代の支援システムなのではないでしょうか。
数人の利用者で構成されるユニットが数ユニット集まり、全体で50人くらいの共同住宅であっても、生活の選択肢が保障されているならば地域福祉といってもかまわないはずです。
ある経営者は「地域福祉時代だからうちは積極的に利用者を外に出した。その結果、利用者が少なくなって困った。」といかにも高潔な経営をしているように話します。
福祉施設がニヒリズムを気取ってもいいのでしょうか。経営が困難になって結果的に倒産して脱施設と言い切れるのでしょうか。

もういちど地域福祉を整理して、施設で行われているサービスが利用者にとって制限的であるか選択的であるかという視点で自己評価をしなおし、その上で自分たちが提供しているサービスを胸を張って社会に報告するべきです。

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