官僚批判の批判

日本の公務員は各国と比較して多くない。平成18年8月の内閣府経済社会総合研究所による調査では、
「我が国の公務員数は、約538 万人、人口千人あたりでは、42 人となっている。(中略)イギリス98 人(フルタイム換算職員数78 人)、フランス96 人、アメリカ74 人、ドイツ70 人となっており、日本の公務員数の水準は相対的に低い」
とある。日本は「大きな政府」というのは嘘だといえる。

http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou030/hou021.html

日本は政治家が率先して公務員をたたき、公務員の給料をカットすれば人気が出る。だから選挙の度にそうしたパーフォーマンスが行われやすい。

過去に、公立保育園の給食の担当者が1000万円を超える給料をもらうという事例が紹介された。確かに民間人の相場からすれば非常識ともいえる高給だ。その一方で、ある国立大学法人の医学部の研究科の部長(いわゆる学部長クラス)の平成19年度の収入はいろいろ入れても1300万円だった。同クラスの学歴を持つ民間人の場合のおよそ2分の1から3分の1。一般に、高ポストの公務員は民間人に比べて相対的に収入が低いともいえる。ところが、政治家やマスコミは反感も買いにくいため、高いポストの官僚があたかも高収入を得ているように批判する。

官僚政治、官僚主導ということばはここ10年の間、随分聞かされてきた。しかし、よく考えてみれば、行政に不慣れな政治家が、部下である官僚なしで政治がやれるはずがない。

福祉の場合、官僚の存在が非常に重要だ。
自立支援協議会は、地域の収益性の低い事例について福祉の担い手である民間の社会福祉法人やNPO、株式会社の利害関係を調整する役割だ。自立支援協議会が地域の福祉サービス機関の利害調整に成功し、地域に良質なサービスが提供される体制を維持するためには、最終的に許認可権を持った官僚の存在がなければ難しい。

人気取りを目的とした官僚批判はやめてほしい。福祉サービスのさらなる荒廃につながりかねない。