がんばれ親の会

構造改革をストップし、福祉サービスをもとのようにもどしたところで、障害者が幸せになるとは考えられません。
構造改革は引き続き続ける必要があります。

これまで日本の福祉政策は新自由主義といわれる政策の体系のもとで改革が進んできました。
新自由主義は
1 国家による福祉・公共サービスを少なくして民間サービスにシフトする
2 規制を緩和する
3 市場による競争を促進する
グローバル化は新自由主義が世界全体に広がったものです。

もともと、日本は家族介護中心の福祉政策です。
「老々介護」という言葉に象徴されるように、日本は家族が介護することが強いられており、情報も十分に家族に届いていません。
構造改革を中断してもこれまでのように役所が福祉を提供する世界では隅々まで行き届いた世界が展開されることは期待できません。

知的障害者の世界には「手をつなぐ育成会」という存在があります。通称、親の会です。
このところ、親の会の組織率は全国的に低下してきていました。これは新自由主義による構造改革により
新しい福祉サービスが提供されるようになったことと関係があります。

これまでは福祉は国や行政から提供されます。
日本の場合には基本的に社会保障制度が申請主義になっているため、十分な情報提供がなされません。
家族介護中心の世界では親の会が情報の提供や施策の整備に役割を果たすことになります。

親の立場から見て、親の会に所属するメリットは、
1情報をキャッチすること
2親の会が経営する施設を利用しやすくなること
3親の会に所属することによって圧力団体としての力が強化され福祉施策が増進されることが期待されること
などがあげられるます。

新自由主義が浸透すると選択できるサービスが増加し、福祉サービスを提供する側からのアプローチが増えます。
そうすると、
1民間福祉サービスの広告活動により情報を主体的にキャッチする必要がなくなる
2民間福祉サービスが増えて施設利用がしやすくなる
3福祉施策が国や行政による福祉から民間の福祉に移行すれば圧力団体そのものの存在意義が低下する
など、親の会に所属するメリットが減少するはずです。

だからといって親の会が衰退していくことを親の会の会員が手をこまねいて待っているのは間違いです。
むしろ、これからあるべき福祉サービス市場を創出するために新規の事業を産み出していくことが求められているのだと思います。
新しい民間による福祉サービス、すなわち「福祉ベンチャー事業」は本来親の会から生まれなければならないと思います。

企業はこうした福祉ベンチャー事業に投資をすべきです。
例えば給食会社や食品関連会社、人材派遣会社、医療関連機器メーカーなどは投資により新しい商機を拡大する可能性があります。就労支援分野はより大きな魅力的な投資先です。

これまでは福祉施設整備によって利益を得るのは建築業ぐらいでした。
他の分野は指定された商品の入札をするだけで、指定された商品もつまらない時代遅れの商品だったりして利益はありませんでした。それが福祉ベンチャー事業の育成という投資行動により積極的に自社の商機を拡大することができます。

親の会には新しい戦略を求めたいと思います。
1地域企業への共同事業の創設に向けた積極的なプレゼンテーション
2魅力ある福祉市場を創設するために必要な障害基礎年金の大幅な強化を行政へ求めること
3福祉ベンチャー創出のためのアントレプレナーの育成
4福祉ベンチャーと企業の橋渡し
など、構造改革の時代にふさわしい親の会の運動戦略です。がんばれ親の会です。