快適な暮らしは自分でつくる

江戸の町は当時、世界最高の衛生的な生活環境であったそうです。
江戸の町の美しさは公的な仕組みで維持されていたのではなく人々が助け合って維持されていました。
例えば家の外の掃除は今のように清掃車が行うのではなく、一家総出で行いました。
十分な法制度はなかったかもしれないが、町の美しさを維持するための行政コストも必要ありませんでした。

施設は支援費によって維持されています。
利用料金は法令によって一律となっており、障害者の収入からすれば寄付金によって施設を改築することも難しい状況です。
支援費が削減されている今、施設はかかわりを持つみんなで維持することが大切です。

名東福祉会は家族会のご協力でそうした活動が盛んに行われている施設。それが伝統ともなっています。たいへん喜ばしいことでありなおいっそうのご協力をお願いたします。

職員にとっても掃除は家具や床についた傷を発見し、利用者が抱えている暮らしにくさや不便さや介護上の問題点を発見する機会にもなります。
掃除中に投薬されているべき薬が落ちているというというような重大なミスを発見することもあり、清掃やメンテナンス業務は介護技術の向上とならんで非常に重要な業務です。

施設は「住まい」。利用者もなんらかの形で掃除や家具の修理や自分なりの家具作りや部屋づくりを行うべきでしょう。
北欧のデンマーク郊外にあるファーラム市の障害者施設に見学に行ったとき、ユニットの外に続く庭でバラの花のまわりの落ち葉を拾っていた利用者の幸せな表情が印象に残りました。
利用者が積極的に施設づくりに参加できるならば、利用者にとっても施設のメンテナンス活動は楽しみな活動にもなります。

整理・整頓・清潔・清掃は生産現場の基本中の基本。就労支援活動の場においても汚れや道具の散乱は生産効率の低下を招き事故にもつながります。

レジデンス日進では数ヶ月前から統括本部長自ら敷地の清掃をしていただいています。
「毎日掃除を続ていてたいへんでは?」
と訪ねたら、毎日ご近所の人たちから声をかけられるので止められなくなってしまったと謙遜されていました。