福祉改革 障害者福祉に活力が生まれる政策を

阿部内閣の所信表明演説が行われた。

注目すべきなのは年金・医療・介護に関する基本方針は「持続可能な日本型の社会保障制度」をつくること。
具体的には
(1)予防介護・予防医学に力を入れること。
(2)年金、医療、介護は持続可能な日本型の社会保障制度を構築する
(4)医薬、工学、情報技術を高め、経営効率の改善をめざす。
(5)大学9月入学制の導入とボランティア活動を促進する
という。

確かに、生活習慣病の予防に力を入れた医療は必要である。医療費や介護費を大幅に削減するだけではなく健康寿命を延ばす。
より効率的で質の高い医療や介護が実現するためには、最先端の工学技術や情報技術を医療や介護の現場に積極的に導入することも必要だろう。
ボランティアが増えることによって地域福祉が推進していくことにも異存はない。
問題は、それをどのような形で実行に移していくかだ。

技術革新や情報処理の技術開発は企業や大学によって行われる。介護の経営効率化は民間の福祉施設や福祉サービス業者が行うものだ。
行政はこれらの技術が民間において改善されることを後押しする役目だ。

障害者福祉現場においても介護技術は進展を見せている。
社会福祉法人が固有に有している介護技術、質の評価方法や利用者への公表方法について、積極的に検討することが必要なのではないだろうか。

障害者が地域でいきいきと生活するためには、障害者施設でのボランティア活動を積極的に推進するよう後押しが必要だ。
高校生が障害者施設でのボランティア活動を選択するような制度を検討していただきたい。

ロボットは生活空間の変化を人間よりも正確に把握できる。
それだけではなく、最新のロボットは利用者の脈拍や体温などの状況を様々なセンサーで把握することができる。
先日、レジデンス日進で行われた愛知県監査の際に、ロボットを導入することについて話題が出た。
監査指導室の担当者からは「将来、ロボットを職員数に換算するような措置がとられるのではないか」という私見が飛び出したが、ありえない話ではない。

単なる医療費や介護費の歳出を削減する方法は福祉現場の質の低下を招きやすい。
福祉現場が利用者にとっても就業者にとってもより魅力にあふれる現場となる決め手は歳出カットではない。
持続可能性を重視するあまり、医療や介護が縮小均衡することは避けなければならない。
工学や情報処理技術を積極的に導入することが可能な仕組みが必要である。

福祉現場にやる気と活力を生み出す源泉は創意工夫である。創意工夫は利用者のニーズに応えることによって醸成される。
福祉現場の創意工夫を後押しするよう、さらなる規制緩和、福祉サービスを利用する際の手続きの簡素化、スピード化を求めたい。