家族会役員会報告

定例の家族会役員会が行われた。名東福祉会では1981年のメイトウ・ワークスの開設以来、利用者の家族会の役員と理事長が直接話し合う場を毎月1回設けている。今日の役員会の席上で、私は理事長として次の事を申し上げた。

第一番目は障害者自立支援法による、利用者の区分判定の結果が明らかになりつつあり、判定区分1~区分6まで非常に幅広い分布をしていることがわかったこと。

これまでは名東福祉会といえば障害が重い人や自閉症の人が利用している法人というイメージがあったが、今回の判定結果では判定上は普通の施設になったということだ。措置の時代では名東福祉会は重度加算(障害が重い人のために特別に加算される支援費)が多い法人であったために、障害者自立支援法で相対的に打撃を受けることは否めない。

第二は、ケアホームの設置を速やかに行わなければならないことが明らかになってきていること。

先日も、当方人の利用者のお父様がご病気で亡くなられたばかり。今後、親の高齢化の進展と共に、夜間ケアの必要性は高まることが予想される。また、判定によっては入所施設の利用ができない人が出るという問題が生じる。現時点でレジデンス日進を利用している区分1・2の人たちのためにケアホームを設置することは必須となる。

名東福祉会の利用者は現在150名前後。ナイトケアの対象者はレジデンス日進、グループホームを合わせて現在50名前後だが、利用者全体の50%を越える75名以上が利用できるようにしていきたい。さらに10年後には親の年齢の推移から全体の75%程度まで高めていく必要があるように思う。

場所については検討を要する。レジデンス日進と同一の敷地に建設することはバックアップの問題から安全で安心感があり、効率がよい。一方、名古屋市はニーズが高く、就労支援や地域生活支援センターとの連携を考えると質の高いサービスを展開できるが経営効率やコストの面で不利だ。十分に検討を行いよいものを開発して行きたい。

第三は障害が重い人のためのケアについて、技術や支援内容を量的にも質的に充実したものにしていきたいこと。

ただ、厳しい判定結果となっているため、良質なケアを提供するためには運営上の工夫も必要だ。具体的には直接処遇にボランティアの協力や参加を促して行くことが必要となる。ボランティアとはいえ無償でというわけではない。有償のボランティアとして戦力となっていただき、施設のケアの向上のために力を注いでいただきたい。

区分判定の如何にかかわらず、現実には名東福祉会の利用者は重度の知的障害が多い。このホームページでも書かせていただいたが、問題行動を少なくし、望ましい行動を増やしていくためには問題行動を起こしにくい環境設定が必要となる。

例えば自己刺激的な行動を行うような人に対し、腕上げやマッサージを行うだけでも様々な変化を期待できる。座位をとれない人に対して、本人に合わせた器具を製作し座位をとったり、背筋を伸ばしたり、からだをストレッチすることは必要であろう。歩行ができない人に対して一定時間、歩行のサポートをするだけでもQOLは高まることが期待できる。こうした支援は職員でなければできないわけではない。このタイプのプログラムは重症心身障害施設ではあたりまえだったが、知的障害者の通所授産施設ではこれまではあまり行われてきていない。

重症心身障害者のニーズのアセスメントを行い、しっかりとしたケアプランを立て、提供するサポート内容を明確に定義すれば、ボランティアにも直接処遇に参加してもらうことができる。もちろん義務ではないが、家族会の人にもこの人たちのケアにご参加願えないだろうか。従来から家族会には掃除やバザーなどでたいへんご協力いただいているわけだが、法人経営のあり方が激変した今、より効果的なご協力のあり方を模索していく次期にさしかかっていると思う。

今日のミーティングでも後半はみんなでわいわいがやがやとなったが、わが法人の家族会は実に熱意にあふれ、知的であり、批判すべきときは舌鋒鋭く、相手が理事長でも会長でもずばずばと批判を行うすばらしい家族会である。これが名東福祉会をここまで支えてきた原動力なのだと改めて確認できた一日であった。