名東福祉会の平成18年度の決算で、名東福祉会の利用料収入は平成17年度の3億8,680万円から平成18年度の3億3840万円
へ減少した。約4,840万円の減収となった。
これを施設別別に見ると
1 通所授産施設「メイトウワークス」は1,500万円(▼19%)の減収。
2 通所授産施設「天白ワークス」は1,370万円(▼18%)の減収。
3 通所更正施設「はまなす」は840万円(▼16%)の減収。
4 入所更生施設「レジデンス日進」は910万円(▼6%)の減収。
となる。障害者自立支援法は特に通所授産施設にとって打撃が大きかったことがわかる。主に利用報酬が月払いではなく日額計算になったことが大きい。
社会福祉施設の経費は人件費が大半を占める。
この4施設について名東福祉会では給与規定を改定するなど人件費を抑制し、収入の大幅な減少に応したが、それでも人件費比率は69%~73%を占める。
これまでは施設の建設費や修繕費は75%が補助金でまかなわれていたため、人件費比率が高くてもやってこられたが、
施設を建設するための補助金がなくなった今、この人件費比率で健全な経営をするのは難しい。
健全な経営を考えると社会福祉であることを考慮しても人件費比率は60%代に抑える必要がある。
となればさらに人件費を抑制するか別途収入を確保するかのいずれかだ。
年々現場職員の人材確保は難しくなる一方だ。これ以上の人件費の抑制は経営的に問題が大きいため、利用料や報酬の確保や後援会組織の充実など利用料以外の収入の確保にも努める必要があろう。
名東福祉会は今後、通所授産施設のまま障害者自立支援法時代を生き残ることは難しいと考えている。
もともと就職を希望する人がほとんどいない法人であるため、今後は生活介護施設への転換を目指すことになる。
ところが生活介護施設に転換すると、現状よりもさらに厳しい経営状況になる。
知的障害者施設は利用料について平成18年度の激変緩和措置で9割が保障されているため(実際には9割にはならない計算方法だが)、
転換すると利用料が減少することがわかっているためだ。
八方ふさがりになりつつある知的障害者福祉。これを打開していくためには地域や利用者から望まれるニーズの高いサービスに名東福祉会の資源を集中していくしかない。
まずニーズが高いのはケアホーム。ケアホームを展開して24時間体制の福祉サービス事業体に事業を転換していくこと。
次に新しい事業である生活介護サービスの内容を充実させるため生活介護プログラムの開発が急がれる。
また、授産事業を競争力のあるものにするため企業と連携することも考えていきたい。
さらに障害者福祉施設同士でネットワーク化を進め、よりきめの細かいサービスが打ち出せる体制を確保することが必要だ。
いずれにしても法人側の努力だけでは限度がある。収益事業に関する規制や寄付金の取り扱いなどの監査指導のあり方や補助金制度のあり方を含め、地域福祉を進めるにふさわしい「行政の改革」が望まれる。