10月25日に豊明市心身障害者(児)福祉団体連合会の主催で豊明市文化会館ホールにて「落語と講演の会」があり、豊明手をつなぐ育成会からご招待がありました。

「兄貴は楽しい?ダウン症」というテーマで、落語家「露の団六」の舞台が始まりました。落語は高座を設け座布団を敷いて着物姿で、講演は着物姿ですが演台で立って講演という趣向でした。

神戸大学教育学部在学中に落語を聴いて感動し、弟子入り。以後、落語のほかラジオ番組やニュースキャスター、大学の講師としても活躍、インテリの噺家です。

話を聞いていて、我が息子たちと共通点が多々あり、どうも心底から笑えません。話の奥にある苦労を私は感じてしまいます。私の長男は左半身マヒ、最重度の知的障害で、ダウン症の方たちの明るさは持っていません。明るいノリオさんの話ばかりで母親のことはあまり聞きませんでしたが、その時、母親はきっと・・・と私は思えてしまいます。

私の次男は小学校5年生の時、私が授業参観に行くと座布団の上で落語をやっていて、私は大いに驚きました。また、同じように教育学部出身ですが、今はコンピュータの会社と当名東福祉会の理事長を兼務し、経営の難しさを実感しています。

大人になってからの立場は全く違いますが、兄弟に障害者がいると、子どものころ味わった様々なことが考え方の根底にあると私は思うのです。好むと好まざるとに関わりなく、生まれる前から兄弟の存在は運命づけられ、何があっても、そういうもんやと割り切って生きて来ざるを得なかった。そしてこれからも。

さて、「あほやけど、ノリオ」という著書。ダウン症のアニキを持って~を早速読んでみましょう。

※読み終わったら本棚においておきますから見てください。

2006年10月29日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

レジデンス日進は開所からもうじき3年を経過します。
3年たって、利用者をあたたかく包んできた桐でできた廊下や、手作りの木の椅子はいろいろなところに傷がつきました。

利用者がパニックを起こすからと言い切ってしまえばそれまでですが、これまで職員たちは「問題行動」が起きないような工夫をいろいろとしてきました。
どんなささいなことでもできるだけ「ヒヤリハット」で報告しあい、利用者が他の利用者をつきとばしたりすると、事故報告を詳細に記録しあってきました。職員たちは反省しあい、少しでもよい状態にすべく、気持ちをひとつにしてがんばってきました。

建物が良ければよいほど、いろいろ気を使わなければなりません。立派な日本家屋ほど見えないところで大変です。

レジデンス日進には毎日見学者の方がいらっしゃいます。みなさんは桐の廊下、桐の壁、珪藻土などに驚かれます。
ほとんどの人が掃除はどなたがやっているのですか?と聞かれます。掃除機は? ガラスふきは? 雑巾がけは・・・
毎日のように掃除に来て下さる後藤さんとボランティアさんや、屋上の花の手入れをしてくれるお母さんたち、月1回の掃除に来て下さる若いお母さんたち。家族会や家族会役員の跡に掃除をしていってくださる家族会の人々。みんな善意で利用者さんたちの生活は成り立っているのですよと話してきました。
そうしたら、何と、月一度でもよければ掃除をやらせて下さいと一般の方からボランティアの申し込みがありました。私はとても嬉しいです。

そして思い出しました。
「人が建物を創る。完成した後は建物が人を創る」チャーチル。
「上質なおもてなしとは最高の施設・料理・サービス」ホテルオークラのベストACS。さぽーとNo595より。

2006年10月25日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

10月21日の土曜日。いつも名都美術館の入場券をいただきますが、今月は私の好きな堀文子先生の展示なので私は喜んで行って参りました。

なんて美しい絵なんだろう。本物の良さを捕らえ、真実が迫ってきて「絵よりも綺麗な絵」という奇妙なことばが頭をよぎりました。進むうち、画文集「時の刻印」より抜粋されたことばが目にとまりました。

「人は決して人だけから学びはしない。樹や草やつきや嵐からの教えで私たちは大人になるのだ。山に住み、草木と呼吸を合わせながら日々を送っていると万物流転のさだめが素直に我が身にしみるのである。生きるものはやがて死に、会うものは別れ、財宝も名判も仮の世のひと時の驕(おご)りであることが否応なく見えてくる今日この頃である。自分などもともとなかったのだ、心さえも妄想だ、捨てることだとしきりに思う年に私もなった。」とありました。

堀文子先生 ことし 88歳。私78歳。

あくる日、日曜日は愛知県豊田市の通所更生施設「観寿々園」が主催する観寿々(みすず)祭に行ってまいりました。友人二人を私の車に乗せ、制限速度を守ってグリーンロードをひた走り、予定より早く着きました。

17年続いた観寿々祭を本年で終わりとするとのことです。

時間前なのに、保育園児やギターや太鼓などのメンバーたちが練習していて、とてもにぎやかでした。観寿々園や夢やの手作り品も沢山並べられ、いつも人気の寄贈品もたくさん並んでいました。保護者たちも熱心に販売に力を入れていて、今年でやめるには惜しい気がしました。

施設運営は今後、ますます厳しく、経営者にとっては身が細る気がしますが、通所する人たちの笑顔、親たちの協力がこの難関を乗り越えると確信します。
来年は「夢やまつり」がデビューするかな?そんな期待を胸に描きつつ、次の予定があるので早々と失礼しました。

その後、日進手をつなぐ育成会「陶芸教室」に行って参りました。香具山福祉会館、工作質、木工や陶芸やその他何でも出来る工房でカマも釉薬もその他陶芸に必要な道具一式があります。部屋、その他一式、無料です。

この日は参加者がやや少なく、4名の本人、3名の母親、1名の友人と私。陶芸の先生は男性で、懇切丁寧に教えてくださいます。

私は時間の都合上、時間途中で失礼しましたが、日進市はいいなあ、これだけの会場と設備を無料で貸してもらえるのだもの。企画をきっちりすれば大したものになるなあと感じ入って帰りました。

私はメイトウ・ワークスを解説するに当たり、授産科目を何にしようかとあれこれ自分で体験してみて、陶芸を取り入れようと思い立ち、当時あった愛知県青少年公園の中にあった陶芸教室に通いました。そこも公立なので粘土は1kg500円。教授料、焼成料、その他かかりませんでした。私はいつも小物専門で人形や花瓶、小皿などをいくつも作って、「これならいける!」と勝手に思いました。今の理事長も別の工房に通い、以来30年、陶芸は続いています。

2006年10月23日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

問題行動を解決する介護に重点的な政策を

現在の障害者自立支援法では、入所施設を利用できる障害程度の区分判定は区分4から区分6(区分6が最重度の障害)となっている。「障害が重い人は入所施設」、軽い人は「グループホーム」という区分けがなされている。

障害が重い人が入所施設の利用者の中心になることには異存がない。だが、現在、障害の程度判定基準が知的障害を十分に考慮したものになっていないことを考えると、「障害が重い人は入所施設」という考え方にはいささか問題があると言わざるを得ない。

現在の判定では知的障害の場合、問題行動がある人が区分判定では大きな数値に判定される。判定に携わる専門官は、問題行動があるかないかが判定の決め手になるという。となれば、今後、入所施設の利用者は問題行動をもった人が利用する傾向となることは否めない。

もちろん、入所施設は高い専門性を標榜しており、問題行動の解決のためのプロフェッショナルになることを社会から期待されている。その意味では、入所施設が問題行動の解決のために環境を整備し、その技術を磨くのはあたりまえである。

ただ、問題行動を維持しているのはその人が生活している環境である。入所施設に移ればしばらくして問題行動が消失するかもしれないが、問題行動が消失したからといって、もとの生活場面に戻った場合に問題行動が再発しない保障はどこにもない。むしろ、問題行動は生活している環境で起こり、維持される。

問題行動を解決するための支援は生活の場で行うのが基本だ。すなわち、問題行動の解決の支援は、本人だけではなく生活環境そのものの変容も含まれるべきである。知的障害者の地域生活支援が成功するか否かのポイントは「重篤な問題行動をもった人は入所施設へ」という考え方を乗り越えるところにある。

ところが現在、入所施設から地域生活への移行支援は退所後1回でわずか5000円。交通費である。この単価ではインセンティブは働かず入所施設からの地域移行は促進されない。本来は、半年間などの一定期間、入所施設から地域生活への試験移動期間に遠隔的な介護や支援が行われ、それに対して支援費が入所施設に支給されることが望ましい。

問題行動は永続的な行動ではない。その人が現在生活している環境の変容と定期的なメンテナンスを適切に行えば問題行動を減少させたり緩和したり、他の望ましい行動と置き換えることが可能である。今、就労移行支援が脚光を浴びているが、今後社会福祉法人の施設において地域生活を維持し質の高いものに発展させていく仕事は施設に本来求められる仕事である。地域生活の場面で問題行動を解決し、QOLを維持するための介護(タスクフォース)に光をあててこそ、障害者自立支援法は地域生活を支援し、強固で利用者側に立った制度になる。

今日10月18日はレジデンス日進が主催する秋祭り。
午前中から用意を始め、テーブルをセッティングする人、ご飯を炊く人、秋祭りらしく秋の花を生ける人、雰囲気作りでポスターを書く人いろいろです。利用者もボランティアも職員もいっしょになって準備しました。

あっという間に出来上がったところで、施設の近所にあるチェコ料理の店「メイグリーン」からカレーやほたてのフライ、ソーセージなどが到着しました。
みんなできれいにお皿に盛り付け、サラダや福神漬けのラッキョの添え物までつけて美味しそうなランチセットができました。

昼食の後はデイサービスルームでビン倒しや輪投げなどの秋祭りの夜店に出るようなゲームで楽しみました。輪投げに入るとお菓子がたくさんもらえます。
その後、リズムに乗って体を動かし、疲れたところでお抹茶と和菓子が出ました。私はお抹茶の味を利用者にひとりひとり聞いてみました。
「飲むの初めてだけどおいしかったあ」
「おいしい」
などの声が圧倒的。あとは「にがい・・・」の一言や聞いても知らんプリの人たちでした。

その後みなさん各ユニットに帰ってくつろぎました。

レジデンス日進には少ないですけれど働くことが大好きな利用者がいます。
「今日はどうだった?」
と聞くと
「今、仕事がたくさん入っているので今日やれなかった分、明日がんばるよ」
と言ってくれました。こんなこと言ってくれる人はそんなにいませんが、何だかジーンときてしまいました。

長い間こういう仕事をしていて、いろいろな思いをします。悲しいことや心配することが多い中でたまに本人からジーンとすることばをもらうと、ああ、この仕事について良かったなと心底思えるのです。まだまだ修行が足りないので利用者さんにいろいろなことが起こりますが、利用者さんの笑顔が何よりも私を励まします。

2006年10月18日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

10月16日、愛知県手をつなぐ親の会津島支部の方々(16名)がレジデンス日進を見学においでになりました。

午前中はあゆみ園を見学され、午後からお見えになったのですが、お子様が小規模作業所に通所されている方が多い関係上、お迎えの時間があり、駆け足での見学となりました。

まず床がすべて桐であること、壁が珪藻土であること、テーブルや椅子が全部木製であることなどに驚かれ、全室が個室になっていることや、トイレ、お風呂に驚かれ、「いいな、いいな」の声がたくさん聞かれました。

屋上では家族会の丹精でバラやハーブの花が咲いているのを見て、「いいなあ」とためいきをつかれておられました。エレベーターでは全員入っても余裕があるので、嬉しそうに騒いでおられました。

デイサービスの見学を終え、質問も感想もお聞きすることができませんでしたが、ひとりのお母さんが「ぜひ、うちの子を入れてほしいがどうしたらよいでしょうか」と聞かれましたが、「ここへ来るまでには随分と時間がかかると思いますよ。できるだけ近くの施設と連絡を密にし、いざという時のために、普段から地域の施設に協力をし、いざというときのために備えておくとよいですよ。」と言って差し上げました。

老後の時を考えて子供のために少しでも早く安心できる生活を・・・という気持ちはよくわかるのですが、自分が年をとったら歩けなることを考えてほしいと思うのです。なかなか遠くの施設には行けなくなります。親も子供も元気な今は、何とか地域で自立した生活ができるようにすることを考え、何でもやらせてみてほしいと思います。母親がいなくても自分のことくらいは自分でやれるようになってほしいと願います。時間がなくて十分お話ができなかったことを残念に思いました。

2006年10月17日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

岩手県小岩井牧場の隣地に住む友人からので電話でご長男(43歳くらい)が亡くなったとのお知らせがあった。
どんなに驚き、どんなに悲しく思ったことか、お聞きする私も胸がいっぱいになる。

でも電話の声は淡々としていて、自閉というハンディをもった子供を授かったお蔭で、いろいろな人と出会い、いろいろな事を学ばせてもらったと感謝しているとのことばが続く。

私との出会いは、以前、彼女が横浜市に住んでいるときに彼女がグループホームを運営しているのを知り、私が訪問したことから始まる。
絵が描けて、音楽指導ができて、グループホームまで運営している主婦に一度会ってみたいと思い、訪ねたのがきっかけだ。
以来、名古屋にも来ていただいたり、雫石に移ってからも二度も私はおじゃましたりしている。
彼女が発行する会報は手書きの字や絵で埋め尽くされ、音楽だよりもとてもロマンを感じるものだ。私はいつも尊敬と羨望を持って会報を何度も読み返した。私のほうが年上だが、彼女と知り合えたことを深く感謝している。

彼女のご長男が突然亡くなられたことはどんな言葉をもってもおなぐさめできないのでは・・・と思うが、きっと立ち直ってまたいつものように、花の絵を描き、音楽をもって大勢の人の心を癒してくれるのではと期待している。雫石の八角形の音楽ホールがまた私においでおいでと言っているような気がする。

2006年10月15日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

家族会役員会報告

定例の家族会役員会が行われた。名東福祉会では1981年のメイトウ・ワークスの開設以来、利用者の家族会の役員と理事長が直接話し合う場を毎月1回設けている。今日の役員会の席上で、私は理事長として次の事を申し上げた。

第一番目は障害者自立支援法による、利用者の区分判定の結果が明らかになりつつあり、判定区分1~区分6まで非常に幅広い分布をしていることがわかったこと。

これまでは名東福祉会といえば障害が重い人や自閉症の人が利用している法人というイメージがあったが、今回の判定結果では判定上は普通の施設になったということだ。措置の時代では名東福祉会は重度加算(障害が重い人のために特別に加算される支援費)が多い法人であったために、障害者自立支援法で相対的に打撃を受けることは否めない。

第二は、ケアホームの設置を速やかに行わなければならないことが明らかになってきていること。

先日も、当方人の利用者のお父様がご病気で亡くなられたばかり。今後、親の高齢化の進展と共に、夜間ケアの必要性は高まることが予想される。また、判定によっては入所施設の利用ができない人が出るという問題が生じる。現時点でレジデンス日進を利用している区分1・2の人たちのためにケアホームを設置することは必須となる。

名東福祉会の利用者は現在150名前後。ナイトケアの対象者はレジデンス日進、グループホームを合わせて現在50名前後だが、利用者全体の50%を越える75名以上が利用できるようにしていきたい。さらに10年後には親の年齢の推移から全体の75%程度まで高めていく必要があるように思う。

場所については検討を要する。レジデンス日進と同一の敷地に建設することはバックアップの問題から安全で安心感があり、効率がよい。一方、名古屋市はニーズが高く、就労支援や地域生活支援センターとの連携を考えると質の高いサービスを展開できるが経営効率やコストの面で不利だ。十分に検討を行いよいものを開発して行きたい。

第三は障害が重い人のためのケアについて、技術や支援内容を量的にも質的に充実したものにしていきたいこと。

ただ、厳しい判定結果となっているため、良質なケアを提供するためには運営上の工夫も必要だ。具体的には直接処遇にボランティアの協力や参加を促して行くことが必要となる。ボランティアとはいえ無償でというわけではない。有償のボランティアとして戦力となっていただき、施設のケアの向上のために力を注いでいただきたい。

区分判定の如何にかかわらず、現実には名東福祉会の利用者は重度の知的障害が多い。このホームページでも書かせていただいたが、問題行動を少なくし、望ましい行動を増やしていくためには問題行動を起こしにくい環境設定が必要となる。

例えば自己刺激的な行動を行うような人に対し、腕上げやマッサージを行うだけでも様々な変化を期待できる。座位をとれない人に対して、本人に合わせた器具を製作し座位をとったり、背筋を伸ばしたり、からだをストレッチすることは必要であろう。歩行ができない人に対して一定時間、歩行のサポートをするだけでもQOLは高まることが期待できる。こうした支援は職員でなければできないわけではない。このタイプのプログラムは重症心身障害施設ではあたりまえだったが、知的障害者の通所授産施設ではこれまではあまり行われてきていない。

重症心身障害者のニーズのアセスメントを行い、しっかりとしたケアプランを立て、提供するサポート内容を明確に定義すれば、ボランティアにも直接処遇に参加してもらうことができる。もちろん義務ではないが、家族会の人にもこの人たちのケアにご参加願えないだろうか。従来から家族会には掃除やバザーなどでたいへんご協力いただいているわけだが、法人経営のあり方が激変した今、より効果的なご協力のあり方を模索していく次期にさしかかっていると思う。

今日のミーティングでも後半はみんなでわいわいがやがやとなったが、わが法人の家族会は実に熱意にあふれ、知的であり、批判すべきときは舌鋒鋭く、相手が理事長でも会長でもずばずばと批判を行うすばらしい家族会である。これが名東福祉会をここまで支えてきた原動力なのだと改めて確認できた一日であった。

手をつなぐ育成会の東海北陸大会に出席させていただいたので、一言なりともこの地の育成会の会員さんにも報告して時の動きを知っていただきたいと思い、日進市の手をつなぐ育成会の定例会に出席させていただきました。当日は15名の出席で、会長の報告や私の報告の後、それぞれが思っていることを発言しました。

日進市の育成会の会員のお子さんたちは大方の方が通所施設を利用している方で、ごく一部の方が一般の企業に就労している方です。話は今回の区分判定の話になりました。大部分の人が判定が軽すぎるということで今後の対応方法がどうなるのか、質問というよりも不安な気持ちを訴えておられました。

会員のみなさんのお子さんに自閉や知的障害があることは間違いありません。これまでも医師や相談所にそのように診断されてきました。学校も特別支援教育を受け、社会福祉のサービスも受けてきました。それが、一夜明けたら障害者ではないといわれたのです。本人が変わったわけではありません。不安な気持ちになるのは当然です。

障害があるこどもの子育てを懸命に行い、卒業した後まで学校の先生に応援を受け、作業所の職員やご近所様や働いている就労先の雇用主さんの理解と協力でなんとか今をつないでいるのです。その支援の輪があってはじめて「障害が軽減されている」のです。ハンディがなくなったわけではありません。

がんばってきた人が区分判定から一夜明けて障害者でなくなり、様々なサービス利用に制限が設けられてしまう。逆に、こどもをほったらかしにし、問題を助長するような対応を重ね、ますます孤立と問題を深めるような育て方をするとたくさんのサービスが受けられる。そんな理不尽なことがあっていいのでしょうか。

国は判定が不服な場合には不服申し立てをしてくださいといいます。でも、窓口に「なんとかなりませんか」と不服を述べても、頑として受け付けない姿勢だといいます。日進市の育成会ではすべての会員から同じような発言があるので、早急にまとめて市へ申し入れようということになりました。

2006年10月11日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

手をつなぐ育成会東海北陸大会が10月8日(日)、9日(月)に掛川市つま恋に於いて行われました。1500名ほどの人々が集まり大会を盛り上げました。大会のスローガンは「誰もが共に生き、育ちあい、支えあう地域づくり」です。

障害者自立支援法がこの10月1日から施行され、利用者負担の問題、障害者区分認定の問題が利用者側に十分理解されないまま進められているところなので、参加者の皆さんは一言も聞き漏らさないぞという真剣なまなざしでどの分科会場も熱気にあふれていました。

私は第5分科会「地域生活支援のあり方とセイフティーネットを考える」に参加しました。内容としては小松市育成会が法人化して新たに居宅支援事業を立ち上げたこと。通所支援や居宅支援事業をすすめるなかで、ヘルパー派遣で自宅で一人暮らしが可能になった52歳の男性の実例が紹介されました。その事例から自立支援法下での問題点や課題が浮き彫りにされました。

提言を聞いていて切実に思ったことは、どうしたら地域で生活を継続できるかということ。親や兄弟だけのがんばりでは限界があるので、地域での「支え」をつくらなければならない。それぞれの市町村で福祉のネットワークをつくる「市町村の福祉計画」こそ重要だと思いました。親はどうしても親亡き後のことを心配し、心を残しながら死んでいくものなのですが、わが子のことだけではなく少しでも地域の人々の支えの輪を広げていくように努める必要があると思います。今回の大会に参加できたことを心から感謝し、老いの身ながらがんばろうと思いました。

2006年10月10日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

またひとりメイトウ福祉会のお父さんが亡くなりました。
大変な自閉症のお子さんをずっと看てこられてどんなにか心残りであったろうと、お察し申し上げ、ただただご冥福を祈るのみです。お子さんはレジデンス日進でショートステイ中ですから、職員がお通夜に連れて行くものと思います。

お父さん、お母さんがお子さんより早く亡くなるのは当然ですが、いつも「我が子を見送ってからあの世に行きたい」という親の気持ちとは裏腹に、年の順で逝くのが常です。

だからこそ、私たち親はせめて親亡き後、そんなに手数のかからないように、ひとりで衣服の着脱くらいは自分でやれるように、大小便はひとりでやれるように、最低の身じまいができるように等々、なんとか教えたいと気遣うのですが、むなしい願いとなることもあります。

ですが・・・親さんたち!! この先、暗いことばかり想像していてはいけません。明るいことを考え、希望を持ちましょう。1000分の1、万分の1でも明るいことを念願していると、神様はきっと願いをかなえてくれますよ。

2006年10月5日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

心配していた雨も止んですっきりとした秋晴れの日、私は久しぶりにメイトウワークスの家族会に誘われて半田市の酒倉と酢の里の見学会に同行させていただきました。

始めは「エッ?福祉と関係ない」・・・と思いましたが、お母さんたちとご一緒できることがいいことだと割り切って出かけました。多少あなどりぎみだった酒倉も酢の里も結構見ごたえがありましたし、半田市の町並みも昔を忍ばせて立派な屋敷があちこちに残っていました。時間の関係上、新美南吉の生家ごんぎつねの里には寄れませんでしたが、その近くの「まんじゅさげ百万本」は見ごたえがありました。

日本の昔の文化に触れ、どうして今日の日本があるのか、途中、戦争があって日本はどうなったかということが思い出されました。

帰りのバスの中では、メイトウワークスを立ち上げたころの事を思い出しました。数名のお母さんたちとともに、かやふきんづくりに一生懸命になったこと、小さな陶芸釜でウサギやネコやライオンのはしおきを作ったことなどが思い出されました。ささやかでしたが、どんなに障害が重くても楽しく通って働ける場をつくるという共通の目標があり、ほんとうに楽しい日々でした。今から28年ほど前のことです。

温故知新ではないけれど、とても有意義な時間を過ごすことができ、メイトウワークス家族会に誘っていただいたことを感謝いたしました。

2006年10月4日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

10月1日はとうとう雨になってしまい、みんなの待ちわびたコロニー祭は残念ながら途中で中止状態でした。

何か催し物をする時は、お天気のことが気になります。晴れのときはスケジュールの進行、雨の時は会場の変更やお客様へのご案内と担当のスタッフは気をもむものです。当日は雨がパラつく中をパレードから始まりましたが途中でやむなく中止。後は売店、展示物、フリーマーケット等々、傘をさしながらみんなでゾロゾロと歩き、楽しみました。

広いコロニーの中を親子連れで歩くことは、晴れていたらどんなに楽しかったことでしょう。歩けない親子連れもあり、来年はどうなるのかなあと心に残りました。

今月の中ごろに、コロニー再編計画の説明会があるとのこと。障害者自立支援法の実施はいやおうなく今日10月1日から始まりました。障害者施設の変革が身近なところで起こってくるわけですが、3年後の見直しにむけて不備な点を見出し、しっかり意見を言えるようにしたいものです。

本人が困らないように地域の中で生きていくにはどんな支援が必要か・・・・、私たち親兄弟が本人に代わって勉強し、その行く末を見極めていきたいものです。

2006年10月2日 | カテゴリー : ななえ日記 | 投稿者 : 加藤 奈々枝

福祉改革 障害者福祉に活力が生まれる政策を

阿部内閣の所信表明演説が行われた。

注目すべきなのは年金・医療・介護に関する基本方針は「持続可能な日本型の社会保障制度」をつくること。
具体的には
(1)予防介護・予防医学に力を入れること。
(2)年金、医療、介護は持続可能な日本型の社会保障制度を構築する
(4)医薬、工学、情報技術を高め、経営効率の改善をめざす。
(5)大学9月入学制の導入とボランティア活動を促進する
という。

確かに、生活習慣病の予防に力を入れた医療は必要である。医療費や介護費を大幅に削減するだけではなく健康寿命を延ばす。
より効率的で質の高い医療や介護が実現するためには、最先端の工学技術や情報技術を医療や介護の現場に積極的に導入することも必要だろう。
ボランティアが増えることによって地域福祉が推進していくことにも異存はない。
問題は、それをどのような形で実行に移していくかだ。

技術革新や情報処理の技術開発は企業や大学によって行われる。介護の経営効率化は民間の福祉施設や福祉サービス業者が行うものだ。
行政はこれらの技術が民間において改善されることを後押しする役目だ。

障害者福祉現場においても介護技術は進展を見せている。
社会福祉法人が固有に有している介護技術、質の評価方法や利用者への公表方法について、積極的に検討することが必要なのではないだろうか。

障害者が地域でいきいきと生活するためには、障害者施設でのボランティア活動を積極的に推進するよう後押しが必要だ。
高校生が障害者施設でのボランティア活動を選択するような制度を検討していただきたい。

ロボットは生活空間の変化を人間よりも正確に把握できる。
それだけではなく、最新のロボットは利用者の脈拍や体温などの状況を様々なセンサーで把握することができる。
先日、レジデンス日進で行われた愛知県監査の際に、ロボットを導入することについて話題が出た。
監査指導室の担当者からは「将来、ロボットを職員数に換算するような措置がとられるのではないか」という私見が飛び出したが、ありえない話ではない。

単なる医療費や介護費の歳出を削減する方法は福祉現場の質の低下を招きやすい。
福祉現場が利用者にとっても就業者にとってもより魅力にあふれる現場となる決め手は歳出カットではない。
持続可能性を重視するあまり、医療や介護が縮小均衡することは避けなければならない。
工学や情報処理技術を積極的に導入することが可能な仕組みが必要である。

福祉現場にやる気と活力を生み出す源泉は創意工夫である。創意工夫は利用者のニーズに応えることによって醸成される。
福祉現場の創意工夫を後押しするよう、さらなる規制緩和、福祉サービスを利用する際の手続きの簡素化、スピード化を求めたい。